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ウェアの製造過程で起こる
品質事故とそのメカニズム
-編み立て編-

2019.03.13(最終更新:2020.02.27)
Edited by キャブ株式会社

Tシャツなどのウェアを製造している過程では、さまざまな品質事故が起こる可能性があります。
品質事故が発生すると、いわゆる「不良品」「B品」といったものができあがってしまい、商品として販売することができません。もちろん、私たちキャブ株式会社でも品質事故が起こらないよう細心の注意を払い、厳しく品質管理を行っています。
それら品質事故の原因や当社が行っている対策を、Tシャツの製造工程ごとに4回に分けてご紹介します。

編み立て(糸の状態から生地にする)工程で生じうる品質事故について解説していきます。

編み立ての工程で生地にキズができたり、穴が開いてしまったりすることがあります。
これらは大別して「技術的な問題」「糸そのものの問題」「編立針の問題」「環境整備の問題」に分けることができます。

まず、技術的な問題として挙げられるのが、編み立ての途中に糸が切れてしまった際に結び目の作り方に不備があるケースです。 切れた糸を結んだ先がそのまま編みこまれるため、通常は糸が1本のところに3本分編み立てられることになり、横方向に線状の凸凹ができてしまいます。

次に、糸そのものに問題がある場合です。糸の撚りが不均一であることから編み立て中に糸が緩み、歪んだところで糸自身が捻じれて塊になってしまうこと(スナール)があります。
こちらも前述の技術的な問題のケースと同じように、通常糸が1本のところに3本分編み立てられることになるため、横方向に線状の凸凹ができてしまいます。

また、糸の問題として繊維長が短く毛羽が多いような糸質のものは、繊維が脱落しやすく綿埃が発生しやすくなります。
その綿埃が糸と一緒に引き込まれそのまま編み立てられることでキズになるケースもあります(風綿:ふうめん)。この症状がひどい場合、編立針が糸をすくえずに穴が発生してしまうこともあります。
この他、複合的な要因で編立針が正しく糸をすくうことができなかった場合、編み立てのループが作られず穴になってしまうことがあります。

そして編立針の問題です。
編み立て用の針が劣化して摩耗や変形したまま使用し続けると、編立針が糸にキズを付けながら編み立てることになります。その場合、編立針に沿って縦方向に直線的なキズになってしまいます。

最後に環境整備の問題として、前述の「糸の問題」で発生するような綿埃が編み立て機に積もり、風綿としてキズになってしまうということが挙げられます。
生産現場の綿埃を常に貯めないようにしなければなりません。
一反の編み立て作業が終了するごとに設備に積もった綿埃を清掃し取り除くといった環境整備対策が品質の安定につながります。

これら編み立てに起因するキズや穴あきといった品質事故に対して当社は、編み立て針の交換管理、環境整備の管理を徹底するなどして対策をしています。

ムラ糸は紡績時にも発生します。
「原料(綿花)編」でも解説した飛び込みですが、編み立ての工程でも発生する可能性があります。
たとえば、編み立ての生産工場に浮遊している繊維くずが一緒に編み込まれてしまったり、ボーダーなど糸染め(糸の段階で染める 先染めとも言う)の糸を使用して異色濃淡の生地を編み立てる際に、濃色の糸の繊維くずが淡色の生地に紛れ込んでしまったりすることがあります。

横段とは、横方向にスジが入ってしまう生地不良のことです。
編み立て時に糸を送り込む給糸の設定が合っていなかったり、複数ある給糸口のうち一部だけ設定がずれてしまっていたりすると発生してしまいます。
横段の対策としては、できあがりの生地の状態を常に確認しながら編み立て機のメンテナンスを行うことで防ぐことが可能です。

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1930年創業。United Athle(ユナイテッドアスレ)を企画・製造するアパレルメーカー。
創業以来モノづくりに従事し培ってきた知識と経験で、全国1万社以上のお客様のビジネスの
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