ウェアの製造過程で起こる
品質事故とそのメカニズム
–原料(綿花)編-

Tシャツなどのウェアを製造している過程では、さまざまな品質事故が起こる可能性があります。
品質事故が発生すると、いわゆる「不良品」「B品」といったものができあがってしまい、商品として販売することができません。 もちろん、私たちキャブ株式会社でも品質事故が起こらないよう細心の注意を払い、厳しく品質管理を行っています。
それら品質事故の原因や当社が行っている対策を、Tシャツの製造工程ごとに4回に分けてご紹介します。

当社が製造しているTシャツやスウェット、ポロシャツなどといった製品の多くは綿を使用しています。それら製品の原材料である綿花に起因する品質事故についてご説明します。

飛び込みとは生地とは違う色が混入する生地不良のことで、紡績の際に綿花以外の狭窄物(きょうさくぶつ:ゴミ・不純物)が混入することで発生します。
周りの生地と色が違っていたり、形状が異なる繊維が混入したりしているので目視で症状が分かる場合がほとんどです。

綿花の回収を手摘みで行う場合、ナイロンなどの化学繊維を使用した回収袋を使用します。
土嚢やビニルシートに使用されるような素材の袋で、その中に収穫した綿花を入れていきます。
回収袋を長期間繰り返し使用していると、袋の素材そのものが劣化して剥がれ落ち、それらが狭窄物として綿花に混入してしまうことがあります。
この狭窄物が飛び込みの原因の一つとされています。

この飛び込みは、原綿(げんめん:紡績の原料となる繊維)の状態や紡績・編み立ての工程では目視できず、染色されて初めて現れるケースが多いです。
狭窄物は綿用の染料では染色されず、生地とは別の色のままとどまってしまうため、このようなことが起こってしまいます。

当社でも、過去に白色のTシャツで飛び込みが多いという品質事故が発生しました。
このとき使用していたのは中国綿で当時は手摘みが主流。
そのため、機械摘みが主流になっていたオーストラリア綿に変更することで、事故を減らすことができました。

綿花は天然繊維のため、栽培された土地、天候や季節などによって個体差が生じます。
たとえ同じ品種の綿花を使い、同じ方法で染色をしたとしても、栽培の条件が異なる綿花を使用してしまうと、仕上がりが同じ色にならないということがあります。
製品の個体差による色差、これがいわゆる「色ブレ」と呼ばれる品質事故です。

私たちが製造する「United Athle」の製品は、チームや会社などでお揃いのウェアを作成するという用途に使われることが非常に多く、そのためこの色ブレという不良はできるだけ避けなければなりません。一般消費者様が一人で着用するウェアとは異なるため、私たちの取引先にはできるだけ色差のない商品が望まれます。
当社ではこの色ブレが極力起こらないように、綿花の栽培条件が切り替わるごとに染色の再現性のチェックを行うことを徹底しています。

綿花のグレードなどの影響により、ネップ・毛羽・ムラ糸という品質事故が起こることがあります。

ネップ・・・繊維同士が絡み合って塊(毛玉のようなもの)となった状態のこと
毛羽・・・糸の両面から細かい繊維がでている状態のこと
ムラ糸・・・糸そのものに細い部分と太い部分ある状態のこと

これらの症状は、生産地による綿花の特徴やグレードの違いにより起こるということが言えます。 繊維長(生地を形成する糸の原材料の長さのこと)の短い繊維が塊になったり、毛羽として現れたりすることがあるためです。

繊維長

過去に当社のTシャツでも、ネップが多く生じたことがありました。
ブラジル綿とギリシャ綿をブレンドして紡績をしていましたが、原因を調べていくと、ブラジル綿の比率が高いときにネップが生じる傾向にあったため、ギリシャ綿の比率を高めて解決したということがありました。
「Tシャツづくりは原料から」の記事でもご紹介した通り、綿花の品質は産地や品種によって大きく異なります。
当社では、特に品質とコストのバランスを考慮しながら、綿花のブレンド比率を変えることで品質事故の低減に努めています。

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