染色の洗い工程・柔軟工程の効果とは?
品質にどう影響する?

Tシャツの生地を染色した後には、必ず「洗い」「柔軟」という工程があります。
この工程がTシャツの柔軟性や堅牢度といった品質に大きく影響するのです。

今回は、Tシャツの製造における染色工程のうち洗いや柔軟仕上げがどのように行われるのかを解説し、生地ごとの洗い方の違いや、柔軟剤ごとの違いもご紹介します。

一般的に「生地を洗う」というと、「汚れたから洗う」「きれいにしたいから洗う」というような目的が思い浮かぶと思いますが、染色工程で生地を洗う目的は全く別のところにあります。

生地を染色した後には、表面に余分な染料が残留しています。
これをこのまま放置しておくと、お客さまがTシャツを購入されて洗濯したときに余分な染料が流れ出し、他の衣類に色移りすることがあります。
「洗濯した後に色移りしてしまって他の服がダメになってしまった」という経験がある方もいらっしゃるかと思いますが、これは製造する際の染色の洗い工程が不十分だったことが原因の1つとして考えられます。

他にも洗いが不十分だと、色あせやにじみ、色泣き(白生地や淡い色の部分に濃い色の部分の染料が移ること)といったトラブルが発生する可能性もあります。

日本で販売されているTシャツは「染色堅牢度試験」という試験が行われていて、1、1-2、2、2-3、3、3-4、4、4-5、5級の9段階で評価され、一定の等級以上のもののみが流通します。
それらは耐光、洗濯、汗、摩擦などの項目ごとに厳しい基準が決められています。

一方、海外ではこうした基準が比較的緩かったり、色落ちしやすい染料を使っていたりするので、海外で購入したTシャツは日本製のTシャツに比べて色移りや色あせ、色泣きが起きるリスクが高いのです。

洗いと一口に言っても、その方法は生地によってさまざまです。

アクリルなどの合成繊維は比較的簡単に、短い時間で洗いが可能です。
水洗いを1回行った後に柔軟剤を使った柔軟仕上げを行います。

ポリエステル生地は水洗いをした後に、加熱された還元剤浴で表面の余分な染料を反応させる「還元洗浄」を行った後、再度水洗い。
その後湯洗いを行い、さらに水洗いをした後で柔軟仕上げを行います。

綿などのセルロース系の生地の場合は、水洗いを行った後、加熱し洗浄剤溶液で「ソーピング」を行い、水洗い。
その後湯洗いを行い、さらに水洗いをして柔軟仕上げを行います。

生地ごとに違いが出るのは、繊維の特性が関係しています。
合成繊維は染料の吸着率が高くて生地に吸着しやすいため、1回の水洗いで完了するケースも多いです。

一方、セルロース系の生地の場合は染料が合成繊維と比較して吸着しにくいため、未吸着の染料が多く、洗いに手間がかかります。

また、セルロース系の生地やナイロン生地の場合、堅牢度を向上させるために染料を繊維に留める「FIX処理」を行うことがあります。

ご家庭で衣類を洗濯される際には柔軟剤を使うことで着心地や風合いが良くなりますが、Tシャツの製造工程でも、染色、洗い工程の後に柔軟仕上げを行っています。
ここからは柔軟剤の種類やその特性について解説します。

柔軟剤には大きく「カチオン柔軟剤」「アニオン柔軟剤」「非イオン柔軟剤」の3つに分けられます。

カチオン柔軟剤は仕上がりがやわらかく、滑らかな生地になるという特性があり、特にベビー服やインナーなどの肌さわりの良さが求められる商品に使われることが多いです。
一般的な家庭用の柔軟剤も、このカチオン柔軟剤が使われています。

一方、アニオン柔軟剤を使った生地はカチオン柔軟剤を使って仕上げた生地と比較すると仕上がりが硬めで、シャリ感があるしっかりとした生地になります。
また、吸水性にも優れているので、サラッとした着心地が実現可能です。
そのため、アウターやポリエステルドライ商品に使われることが多いです。
汚れや油分を浮かせて洗浄力が高い性質がありますので、家庭用の洗剤や石鹸、シャンプーなどにも使われています。

非イオン系の柔軟剤を使った生地の性質は、カチオン柔軟剤とアニオン柔軟剤の中間くらいに位置します。

このように、柔軟剤の種類によって生地の性質が大きく異なり、作る商品や求める着心地に応じて使う柔軟剤も変えているのです。

Tシャツの製造における染色の洗い加工は品位の向上や、色移りなどのトラブルを防ぐ上で必要不可欠。
厳しい基準があって、それを満たすために生地ごとに工程も工夫していることがおわかりいただけたかと思います。
洗いの後の柔軟仕上げは、Tシャツの風合いや着心地、性能に大きく影響します。
こちらも商品ごとに仕上げの方法を変えることで、それぞれの個性を引き出しているのです。

こうした洗いや柔軟仕上げの工程にもこだわって、高品質・高性能なTシャツを皆さまのもとにお届けしています。

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